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任意整理の利用が堅調に推移

今のところは、ミリオンがUCを上回るシェアを獲得している。 カード会社の幹部も驚いたくヨタ軍団の営巣カディーラーの動きもあわただしかった。

Tディーラーはまさに「軍団」という名にふさわしい行動力と団結力を誇っている。 例えば、T本社が「販売ツールとしてステッカーを店内に貼り、このPOPを置くように」と通達すると、全国のディーラー店で一店のもれもなく、きれいにステッカーが貼られ、popが置かれる。
そのためT本社が「Tカードを1年間で100万枚発行する」と目標を立てたと噂が流れるだけで、各ディーラーは「じゃあ、うちは5万枚さばこう」「うちは10万枚さばこう」と独自に目標を設定して営業活動を始めたという。 本社がノルマを与える間もないのである。
そうした強さがあるから、1年間の目標をわずか半年たらずでクリアするといった途方もないことが可能になったのだ。 その営業力のすごさを身近に聞くことができた。
千葉県に住む会社員A氏は大のTファンで長年T車を愛用してきた。 そのためTのセールスマンとは親しいつきあいをしている。
A氏が勤務するのはある流通系カード会社であったが、それまでは別にTの強さなどは意識していなかった。 ところが、Tカードが発行されて1カ月ほどたったころ、そのセールスマンがやってきた。
家には奥さんしかいなかったそうだが、Tカードを見せて「1年後にはやめてもらって結構ですから、とにかく入ってください」と勧誘したそうだ。 しかし、奥さんは流通系とはいえ、ライバルのカード会社の幹部の妻である。
意地でもYESとは言えない。 それとなく断ると、日を変えて5度も6度もやってくる。

奥さんはすっかり困ってしまって「主人はカード会社に勤めているので、もうカードは要らないんです」と強く断ったところ、「では、私がご主人の会社のカードに入るから、ぜひTカードに入ってくれ」といい、平身低頭して頼み込んだそうだ。 奥さんから話を聞いたA氏は、「カード会社の営業マンではとてもそこまでできない。
Tのパワーはすごい」とつくづく感じ、すぐにTカードに入会したという。 確かに、Tディーラーは、クルマだけでなく、浄水器まで売って苦労している。
「カードは利用範囲が広く夢のある商品だから売りやすい。 カードを扱ってみて、これほどラクな商売はない」と彼らが感じたのも当然といえるのだ。
まさに、T恐るべし、である。 しかし、このようにディーラーが会員獲得に励むのは、Tカードはディーラーがそれぞれ発行したことになり、顧客囲い込みの有力なツールになるからでもある。
東京Tが発行したカードを見ると、「T・T」という略称が入っている。 そして、裏面をひっくり返してみると、東京Tの住所が記入されている。
つまり、これはT本体が発行するカードではあるが、ディーラーに所属するカードということを意味している。 したがって、顧客データも他のディーラーにはいかずに、自分のところに来るから、ディーラーの顧客囲い込みには欠かせないツールなのである。
そのために全国のディーラーは顧客獲得競争にしのぎを削ったというわけだ。 Tカードはどこのディーラーで使おうと特典は共通しているので、各ディーラーはより多くの顧客を獲得するために独自の特典を付けるケースが増えている。
例えば、中京地区のディーラーでは「ダブルキャッシュバック」というサービスを実施しているところがある。 これはTカードで還元したキャッシュバックと同じ額を、さらにディーラー側からも顧客に還元するというものだ。
つまり、キャッシュバック額が5万円だとすると、まず、これがメーカー(カード会社)から顧客に振り込まれ、さらにそのディーラーからも5万円が還元されるというシステムだ。 ただ、こうした特典は販売店ごとに理解が異なっているため、例えば、東京地区では「ダブルキャッシュバック」を実施している店はほとんど聞かない。
しかし、それを中京地区では盛んにやっていたりする。 「ダブルキャッシュバック」は実際は販売店がカードをきっかけに身銭を切って顧客を囲い込む戦略で、その店は顧客サービスの1つと位置づけているわけだ。
一方のカード会社とすると、先にふれたように提携手数料、協力費という形での拠出ばかり増えて、このカードでは採算が取れないのではないかと心配していたが、いざフタをあけてみると、全国のディーラーが活発に動いてどんどん会員を獲得してくれる。 しかも、地方での会員が大量に増えた。

これまで都市中心で拡販を行ってきたカード会社にとっては、初めて地方での拡販に取り組むきっかけを得た。 さらに、旧カードからの切り換えではなく、新規顧客が大量に獲得できた(7割が新規客)。
これまでの銀行を中心とした勧誘活動とは比較にならないほどの集客力の高さであり、こちらはうれしい誤算であった。 H、Nなどの追撃とTカードのリニューアルこのTカードの快進撃ぶりに刺激され、動揺を受けたのは、同業の自動車会社。
なかでもHは「うかうかしていればすべてTに持っていかれる」と危機感を深め、急いで自社カード発行の検討をはじめた。 95年10月に提携して「HCカード」を発行した。
その内容はTのキャッシュバック方式をほとんどそのまま採用したものであった。 続いて、N、D、Mも相次いでTとよく似た提携カードを発行し、職烈なカード競争を展開しはじめた。
各社の一斉の参入に守勢に回ったTも黙ってはいなかった。 発行から1年たった96年1月にさっそく、エクストラポイントショップシステム(特別提携先)という全く新しい特典を発表した。
これは指定された加盟店でTカードを利用するとポイントの付与率が倍に引き上げられるというもの。 D、N、Tなど6業種12社がこの特別提携先に指定された。
続いて4月には景品表示法の改正で規制緩和がなされたこともあって、キャッシュバック額を最高20万円から30万円に引き上げた。 もちろんキャッシュバック額を30万円に増やしたのはHの最高25万円を意識したものだった。

また、キャッシュバックの対象となる領域を新車購入のみから、車検や中古車購入にも広げた。 さらに、家族会員も一般カードについてはH同様、年会費無料として、家族会員の勧誘をしやすくした。
Hが家族会員を初年度のみ年会費を無料にしたために女性会員をどっと増やしたという情報が入ったからである。 そこで、それまで400円(税別)であった家族会員年会費を初年度は無料にした。
Tのリニューアルの最大の理由は、Tカードの稼働率を上げることだった。 実はTカードは期待したほどの稼働率を見せてはいなかったのである。
一般カードと変わらない程度の25%ほどの稼働率しかなく、後述するガソリンカードと比べると、対照的な使われ方をしていた。 というのも、利用額のわりにキャッシュバックが小さいため(30万円のキャッシュバックには万円以上の利用が必要)に途中で諦める人が多い、200万円の新車を購入すれば、黙っていてもディーラーは30万円くらい値引きしてくれるからありがたみが薄い、といった理由がある。

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